マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)

子宮腔の内面を覆う組織を子宮内膜といいます。毎月その表面が剥がれ落ちて新しい内膜が再生されるときに起きる出血が月経です。子宮筋腫が子宮内膜の直下で発育した場合や子宮腺筋症の場合に、月経時の出血量が増加し貧血を引き起こします。貧血がひどくなると動悸・息切れなどのつらい症状が現れてきます。また、大量の出血がつづく状態そのものが外出や仕事を著しく制限する結果、働く女性は不利な立場にたたされます。

造血剤、止血剤あるいはホルモン治療の効果が不十分なときは、従来から開腹下や腹腔鏡下に子宮摘出術がおこなわれています。これに対して、MEAは子宮内からマイクロ波を子宮内膜へ照射して壊死させる治療法で、術後は出血量が激減します。MEAは子宮摘出術の代替治療法として、体に負担をかけずに、数分から数十分で安全に実施できる治療法です。当院では1泊2日(当日入院、術後1日目退院)でMEAをおこなっています。退院後はすぐに日常生活に復帰することができます。

(保険適応となっておりますので3割負担で10万円程度の費用となります。)

閉経までの5~10年の期間を、外科的治療を回避したいために十分満足できない状態でも我慢している女性は少なくありません。そのような方の多くはMEAによって過多月経を治療できるのです。

なお、妊娠を望む方には適応できません。

マイクロ波アプリケーター(左図)の直径は4mmで子宮の中までスムーズに挿入可能な形状です。

右の図のように、子宮腔の内面をすべて覆うようにマイクロ波を照射できたら終了です。この例では計6ヶ所(約6分)のマイクロ波照射で治療は終了します。

マイクロ波子宮内膜アブレーションの適応

  • 子宮筋腫・子宮腺筋症による過多月経で、子宮は拡大・変形しているが子宮卵管角部・子宮底部の子宮内膜にマイクロ波アプリケーターが容易に到達できる場合
  • 機能性過多月経
  • 血液凝固不全などの全身疾患に原因する過多月経
  • 今後、妊娠・出産を希望しない

以下の患者さんは適応外となります。

  • 妊娠を希望される場合
  • 子宮筋腫・子宮筋腺症による拡大・変形を伴い、子宮卵管角部・子宮底部の子宮内膜にマイクロ波アプリケーターが容易に到達できない場合
  • 異型子宮内膜増殖症の場合
  • 子宮内膜癌の場合
  • 子宮壁の厚みが10mm以下の場合