ご挨拶

那須赤十字病院 がん診療対策推進室長 田村 光

当院は平成26年8月6日に厚生労働省より「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受けました。これは、全国どこの地域でも質の高いがん医療が提供できるように、全国各地でがん医療の中心を担う病院を、各都道府県が審査・推薦し、厚生労働省での審議会を経て指定するものです。

現在、栃木県内では、当院を含む7病院が指定されています。

その要件は以下の通りです。

(手術、放射線療法および化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療)

①相談支援センターの設置

②緩和ケアの提供

③研修および地域連携クリニカルパスの整備

④院内がん登録の実施、地域がん登録への協力

⑤セカンドオピニオンの提示

⑥キャンサーボードの設置および定期的な開催

がん診療対策推進室では、がん診療対策推進委員会を開催し、院内でのがん治療に関する基本方針決定・指導を各部門の委員と協議の上行っています。

①がん相談支援センターでは、がん患者さんが気軽に必要な情報をとり、相談等ができるように、相談窓口を設置しています。毎月第1土曜日にはがんのつどいと、ピアサポート那須がん患者の会が行われております。さらに、平成26年度からがん患者の就労支援事業を実施しております。
②緩和ケア支援部門では、平成24年の当院新築に際して20床の緩和病棟を設置し、緩和ケアをいつでも提供できるチームでの体制を整え、外来・入院ともさらに充実しております。
③研修(がん診療)部門は、医療従事者を対象としたがん治療のセミナーや講演会を行っております。また、地域住民の方々向けの、がんの市民公開講座を開催し、質問や相談コーナーも設置しております。
④院内がん登録部門は、院内でのがん症例の登録を行うとともに、より良い医療を提供するために、当院と栃木県内さらに全国の病院のデータと比較し治療について検討しております。
⑥キャンサーボードでは各臓器別のがんについて各診療科医師ならびに多職種のスタッフが参加し行う検討会を定期的に開催しております。

当院では、患者さんが自分の病状を正しく理解し、治療方針を主体的に選択していただくために、基本的にがん告知をするよう検討しております。そのため、その後の患者さんやご家族の方々への支援が重要であると考えております。平成26年度、当院の看護師から栃木県北では初めてのがん看護専門看護師が誕生しました。今後さらに体制を強化し、地域がん診療連携拠点病院として、地域におけるがん医療の充実及び地域連携の構築に、より一層邁進して参りたいと考えております。